クレンジングオイル、角栓溶かす?

「クレンジングで角栓ぽろぽろ」「毛穴の汚れもすっきり」
そんな文言を、クレンジング売り場でよく見かけます。
ですが実際のところ、思っていたほど気持ちよく取れたことがない人も多いのではないでしょうか?
果たして、クレンジングで角栓は取れるのか。そもそも、クレンジングで角栓は溶かせるのか…?
クレンジング角栓溶かす実験開始!

というわけで、強固な角栓を栽培している筆者が実験してみようと思います。
題して
「クレンジングオイルVS強固な角栓」溶かす実験
角栓はサクッと収穫してきました。小鼻産です。

黄色味をおび、ギュッと詰まった強者の出で立ち。
これまで幾戦の毛穴・角栓スキンケアに耐え抜いてきました。我ながらいい角栓です。滅びろ。
見た目通り感触は硬く、指や爪楊枝で刺した程度の力では潰れません。
角栓VSクレンジングオイル

では、さっそく実験を開始していきましょう。
対戦相手はクレンジング界でも洗浄力が高いといわれている「クレンジングオイル」。
成り行きが見守りやすいよう、透明なものをセレクトしました。

拡大するとやや画質が荒く申し訳ないのですが、どうでしょうか。全方位どっぷりと漬かっております。
今まで数多のメイクを落としてきた持ち前の洗浄力。歴戦の角栓にどこまで通じるのか期待です。
ちなみにすでに30分経過していますが、どうも変化を感じられないのでこのまま1時間。延長戦と参ります。
がんばれ、クレンジングオイル。
結果:角栓、ややふやける

計1時間半経過したでしょうか。取り出してクレンジングオイルをふき取った角栓がこちらです。
外側がやや、白くふやけているでしょうか…?
中心は相変わらず黄色味を帯びていますね。

爪楊枝ではびくともしません。クレンジングオイルVS角栓の勝負は、角栓の勝利のようです…。
角栓VS毛穴向け洗顔ジェル

クレンジングオイルは負けてしまいましたが、なんとかして角栓に打ち勝ちたい。
ならばと、今度は洗顔料の参戦です。
次なる対戦相手は、毛穴汚れをケアする角栓クリア処方の「洗顔ジェル」。
洗浄力がより強そうなので炭入りをチョイスしました。こちらですね。
たびたびバズっているので、きっとご愛用の方も多いことでしょう。
普段は洗面所でしか出番がないので気が付きませんでしたが、こうして光に充てると綺麗ですね。

そんな綺麗なジェルのなかに、浮いております。憎き角栓。
粘度があるためか、やや浮いていますね。
360度、みっちりその洗浄力で溶かして頂きたいです。
結果:角栓、かなり柔らかくなる

10分後。かなり柔らかくなりました!短時間なのに!!

最初の黄色味を帯びていたものと比べると、だいぶ白っぽく半透明になりましたね。
バラバラにはなりませんが、ふにふにとつぶせる程度には柔らかいです。
角栓VS酵素洗顔

ここまできたら、もう溶かしきってしまいたい。
次の対戦相手は、対角栓用最終兵器「酵素洗顔」です。
使ったのはこちら。スクラブと酵素のダブルパワーで汚れをかき出すタイプですね。
はたして、毛穴丸洗いの名に恥じぬ成果はでるのか。
さすがに透明なものはなかったので、泡は白です。
角栓はー…完全に隠れちゃってますね。

裏からみると。ああ、居ました。
真ん中よりやや上のほう、わかりますでしょうか?

泡よりやや黄色っぽいのが角栓です。
はじめより白っぽくなったといっても、さすがに泡よりは黄色いですね。
結果:角栓、砕け散る

10分後。つぶれました!!バラバラに!

溶ける、というよりは砕ける。といったほうが正しいでしょうか。
じゅわ~と溶けだすというよりは、砕いて流すが洗顔料のメカニズムとしては近そうですね。
ともかく、これは角栓の敗北といってもいいのではないでしょうか。
われわれの勝利です!
角栓をクレンジングで溶かすのはムリ?

思いのほか実況に熱くなってしまいましたが…本題に戻ります。
じゃあ「毛穴汚れもすっきり!」というクレンジングは嘘なのか。というお話ですね。
「毛穴汚れまですっきり」はなんとも言えませんが、「溶かす」に関していえば今回の実験結果のようにクレンジングだと分が悪いのではないでしょうか。
クレンジングで「溶かす」のは難しい

というのも、「角栓」の主成分はタンパク質。これに脂質が30~50%混ざってできています。
「角栓=皮脂」というイメージが強いが、実は脂質の割合が全体の30~50%に対し、タンパク質はそれを上回る50~70%を占めていることが明らかになった。
花王の顔|なぜ角栓は落ちないのか?スキンケア研究員が暴く驚きの実態 (kao.com)
対して、クレンジングが落とすのは主にメイクなどの油汚れ。
界面活性剤の力で落としています。
オイルクレンジングの洗浄力が高いといわれているのは、油同士で馴染みやすいからですね。
クレンジングとは化粧を落とすことです。化粧品には多量の油分が含まれているので水洗いだけでは、なかなか取り除くことができません。また最近では「汗や水で崩れない」、つまり落とすのが難しい化粧品も増えています。そこで、クレンジング剤(メイク落とし)で化粧品の油分や汚れた皮脂を溶かし出し、クレンジング剤とともに残った汚れを洗顔料で洗い流して、肌を清潔に保つことが大切です。
クレンジング・メイク落としのポイント|皮ふ科医に聞く ミニ知識 – 敏感肌スキンケアNo1【公式】 dプログラム 資生堂 (shiseido.co.jp)
油や界面活性剤自体にタンパク質を溶かす効果はありませんから、酵素や特別な技術が組み込まれていなければ難しいのではないでしょうか。
同じく界面活性剤の力で落としている「洗顔料」も同じですね。
フライパンに焦げ付いたお肉は、一般的な食器洗い洗剤で溶けたりはしません。
専用の洗剤か、重曹。またはゴシゴシと擦って落としているのではないでしょうか?
界面活性剤はともかく、油でお肉(タンパク質)が溶けだしたらステーキ屋さんは大惨事となるに違いありません。
クレンジングの角栓への効果

では、クレンジングで「角栓ぽろぽろ」はどうでしょうか?
残念ながら「角栓ぽろぽろ」のメカニズムに関する研究はありませんでしたが、
仮説を立てるとしたら下記の内容ではないかと思います。
・クレンジングに酵素が入っている
・角栓用の新技術が使われている
・角栓と肌の隙間に入り込んで潤滑油となっている。
「酵素」は角栓を砕いていましたし、「角栓クリア処方」も角栓を柔らかくしていました。
最後の説ですが、角栓は抜き取れることからもわかるように肌との接着面はやや脆くなっています。
角栓の原材料は「皮脂」と「古い角質」であり、肌本体ではなく詰まっているだけだからですね。
未成熟な角質は剥がれ落ちる機能も低下しています。きちんと剥がれ落ちることのできない角質達の行き先は「毛穴」。これが角栓となるのです。
角栓ができる原因とは? 角栓の正体を知って正しくケア: me&beaute-Maison KOSÉ (kose.co.jp)
そして角栓は「永遠に居座っています」という顔をしていますが、実際のところターンオーバーで抜け落ち生まれ変わっています。
この生まれかわる直前のやや浮いている状態の隙間にクレンジングが入り込めば、潤滑油がわりに「ぽろぽろ」出てくるのではないでしょうか?
クレンジングオイルでもやや角栓の表面はふやけました。周りが柔らかく、中に芯が残った状態なら「ぽろぽろ」といった取れ方をしてもおかしくはないかと思います。
ただ、クレンジングの効果のメインは「皮脂やメイク汚れを落とす」ことです。
クレンジングが角栓に直接意味があるとしたら、角栓の構成成分である「皮脂」を落とすところにあるのではないでしょうか。
毛穴専用の商品でないのであれば、あくまで「角栓をとる」は不随した効果。あまり期待はしないほうがいいかもしれませんね。
角栓用洗顔で角栓は落とせる?

今回の実験で、角栓は洗顔で溶けました。いや、砕けました。
ですが、実験のように10分もの長時間洗顔料を顔に乗せるのは現実的ではありません。
実験で角栓が砕けたように、同じ成分で作られているお肌にもダメージが入りかねないからです。
角栓表面は溶かせるかもしれない

そして角栓は肌に埋まっているので、実際に洗浄成分があたるのは表面のみです。
今回の実験のように、洗顔料を使って角栓を砕くのは難しいかもしれません。
ただ、定期的に使って角栓の出入り口をやわらかくし、排出させやすくする目的でしたらどうでしょうか?
・肌本体にダメージ(赤みや刺激)がでたら中止する
・角栓を出し切ることにこだわらない
角栓を砕けるという洗浄力自体は、とても素晴らしいものです。
角栓の結合が緩んで小さく砕ければ、自然排出される可能性も上がるかもしれません。
ただ刺激が強いので、使用後はしっかりと保湿。摩擦などにもご注意を。
結果:角栓はクレンジングで溶けない
【クレンジングで角栓は溶かせるのか】
・クレンジングで角栓を溶かすのは難しい
・角栓用洗顔に漬けこめば角栓を砕くことは可能
・顔面上で砕くのは難しいのであくまでターンオーバー補助に
「角栓はクレンジングでは溶けない」という現実を受け止めなければならない結果に終わりましたが、ジェル洗顔や酵素洗顔のおかげで希望は残りましたね。
角栓をピンポイントで溶かしたりすることは難しいですが、より角栓を排出しやすい環境を整えることはスキンケアでもできそうです。
では、毛穴に悩む同志の皆様。本日も健闘を祈ります。