グリセリンが毛穴詰まりに?グリセリンフリー流行のワケ

グリセリンは毛穴詰まりに?

美容液のボトルの写真

グリセリンフリー、という言葉を聞いたことはないでしょうか?

肌垢界隈ではたびたび目にする言葉で、グリセリンフリーの化粧品は時にバズり話題に上ります。

が、我々毛穴の民が知りたいのは、

「グリセリンで毛穴詰まりするのか否か

という部分!!

こいつが毛穴詰まりを導きガン開きにしているのであれば、野放しにはしてはおけません。許すまじ。

ということで、今回はそのメカニズムについて詳しく調べてみました。

じゃ、いってみましょう。

そもそもグリセリンって何?

化粧品のボトルが並んでいる写真

そもそもグリセリンとはなんなのか。

三価アルコールという、分類としてはアルコールの一種です。化粧品では

・グリセリン
・濃グリセリン

と主に表示されている成分ですね。

アルコールなので水に混ざりやすく、食品のとろみや化粧品の保湿剤、医療など幅広く使われています。

トロッとした感触の化粧品の成分を確認すると、結構な確率で配合されているのがこのグリセリンってやつですね。

グリセリンフリーだと話題になるくらい、グリセリンが入っていない化粧品を探す方がいっそ難しい。

グリセリンの効果って?

エステを受ける女性の写真

アルコールなのに保湿に作用するのが不思議ですが、仕組みとしては以下の通りだそう。

グリセリンは、化学構造に3個のヒドロキシ基をもつ三価アルコール(多価アルコール)であり、非常に高い吸湿性を示し、皮膚においてしっとりとした感触を付与するとともに角層に浸透しケラチンと水分子との間で仲介役を果たすことで保湿性を発揮することから、保湿剤として広く汎用されています

グリセリンの基本情報・配合目的・安全性 | 化粧品成分オンライン (cosmetic-ingredients.org)

要約すると、

湿気を吸いやすく、とてもしっとり!お肌(ケラチン)と水分を仲良くさせてくれるよ!

ってことですかね。

グリセリンには水分の蒸散を抑えるだけでなく、外部から水分を引き寄せ、肌にうるおいをもたらすはたらきがあります。また、グリセリンはひとつひとつの分子がとても小さいため、角質層の奥深くまでしっかり浸透。肌の内側(角層)までしっかり保湿し、肌のバリア機能を強化するはたらきも。

グリセリンで肌の保湿を!気になる成分効果や安全性は? | NEUTROGENA®

つまり

小さいから角質層に入れる→入ったうえで湿気を吸うので結果的に肌が潤う。

という認識でいいのでしょうか?

注目すべきはその持続力。即効性のある保湿成分としてはヒアルロン酸が有名ですが、グリセリンはより長時間その保湿効果が持続することがわかっています。

グリセリンで肌の保湿を!気になる成分効果や安全性は? | NEUTROGENA®

なんならヒアルロン酸より持続力があるらしい。

今の所とっても使われているすごい保湿剤で、インナードライの救世主のようにも聞こえてくるのですが、どうなのでしょう?

なんで毛穴にグリセリンはNG?

こんなに優秀な保湿剤なのに、なぜ我々毛穴民は「グリセリンフリー」を推されまくるのか。

きっかけは、どうも製薬会社の実験結果のようです。

【研究調査】化粧品でアクネ菌が増える? ~保湿剤編~ ※専用サイトへ | 株式会社サティス製薬 (saticine-md.co.jp)

各種保湿剤がアクネ菌の栄養源となりうるのかを検討するために、保湿剤をアクネ菌に与えてその増殖率を測定しました。

【研究調査】化粧品でアクネ菌が増える? ~保湿剤編~ ※専用サイトへ | 株式会社サティス製薬 (saticine-md.co.jp)

一般的に使われている「保湿剤」を餌にして、「アクネ菌が一番増えるのどーれだ!実験」をしたわけですね。元はニキビ用化粧品の開発のためにおこなったものだそう。

アクネ菌と毛穴詰まり、関係ある?

使用後の毛穴パックの写真

毛穴が詰まるならもれなくニキビもできやすい人が多いかと思いますが、今回は論点がそこではないのでスルーして。アクネ菌と毛穴の関係ですね。

順番に話していきますと、どうもアクネ菌は脂質分解酵素(リパーゼ)をもっていて、我々の憎き皮脂を「不飽和脂肪酸」などに分解しているみたいなんですよ。

皮脂成分のうち中性脂肪であるトリグリセリドは、皮膚常在菌通性嫌気性桿菌の一種であるアクネ菌(Propionibacterium acnes)の産生するリパーゼによって分解される.その結果、発生した脂肪酸のうちある種の脂肪酸(パルミチン酸、オレイン酸など)は、毛包角化作用や起炎作用をもつといわれている.

化粧品用語集 | ライブラリー | 日本化粧品技術者会 SCCJ (sccj-ifscc.com)

で、この「不飽和脂肪酸」。資生堂の研究で「すり鉢状毛穴の主因」であるといわれてるわけでですね。

皮脂分析の結果、毛穴の目立つ人はそうでない人に比べて皮脂量が統計学的に
有意に多く、その中でも特に不飽和遊離脂肪酸(皮脂中の代表的な不飽和遊離脂肪酸には
オレイン酸やパルミトレイン酸が知られている)の比率が高いことを明らかにしました。

373_n3c34_jp.pdf (shiseido.com)

オレイン酸を実際に顔面皮膚に塗布したところ、塗布部位ではキメ(※3)が
乱れ、肌が荒れた状態となり、有核細胞数が顕著に増加することが判明し、すり鉢状部の
不全角化は皮脂中の不飽和遊離脂肪酸が主因となって生じていることがわかりました。

373_n3c34_jp.pdf (shiseido.com)

解釈が正しいのであれば

アクネ菌が増える不飽和脂肪酸が増えるすり鉢状毛穴爆誕!の図式はなきにしもあらず、と。

ちなみにこの「トリグリセリド(皮脂主成分)」から脂肪酸(オレイン酸など)が分解された残りが、今回話題のグリセリンです。

そりゃ主食の副産物なら、アクネ菌も食べやすいでしょうね。ハンバーグ下のパスタ的な…?

グリセリン=アクネ菌の餌?

油の写真

じゃあグリセリンはアクネ菌の餌で「毛穴を悪化させる悪いやつだ!」っていう話なのかどうかですが。

実は賛否両論。

あくまで「水溶性保湿剤」の中での一位がグリセリン。アクネ菌がもっと大好きなえさ(もっと避けるべき成分)は他にもある可能性も、十分にある。

グリセリンでニキビができる、実は嘘!?医学博士がウワサを検証 | 敏感肌ナビ (dsr-skincare.jp)

そもそもアクネ菌の主食って皮脂なんですよ。油。

グリセリンはアルコール(酒)なんですよ。つまり、主食じゃない。

あくまで「保湿剤の中では好きな味」なだけなんですね。

つまりグリセリンを避けたとしても、他の油系成分がアクネ菌を増やしているかもしれない、と。

インナードライが悪化する可能性も

老人の口元の写真

さらにいうと、グリセリンを完全除去した結果、インナードライを悪化させる可能性すらあります。

グリセリンフリーの化粧品は少なく、存在するものもサッパリとした使い心地なものが多い影響ですね。

皮脂膜は、角層の表面(皮膚表面)を覆っている天然の保護膜です。皮脂腺(ひしせん)から分泌される皮脂(油)と、汗腺(かんせん)から分泌される汗が混ざり合ってできています。汗のほとんどは水です。皮脂膜は、が混ざった「うるおいの膜」です。

バリア機能と美肌の関係は?毎日のスキンケアのポイント: me&beaute-Maison KOSÉ (kose.co.jp)

皮脂が「天然のクリーム」と言われているのは、顔面上の水分と油分を合わせて保護膜を作るからだといわれています。グリセリンは皮脂からも作られる保湿成分ですから、その強い保湿力の一端を担っていてもおかしくはありません。

われわれ毛穴民が減らしたいのはあくまで「不飽和脂肪酸」であって、「うるおい」ではありません。

グリセリンは「皮脂の主成分から脂肪酸(油)を抜いたもの」ですから、あんまり神経質になる必要はないのかもしれませんね。

グリセリンフリーはなぜ人気?

じゃあなんで、こんなに話題になるんだってお話になるかと思うんですが。

これはたぶん何種類か理由があって、

・グリセリン自体が肌にあわない
・グリセリン=ニキビと勘違いしている
・少しでもアクネ菌の増殖案件を減らしたい(過激派)

などなど、人それぞれかと思います。

私はアクネ菌くそやろうと思っているので、できる限りは減らしたいです。

光の屈折で黒ずんで見えるという説も

インフルエンサーである「なつなつさん(@natsunatsu_7722)」や「かずのすけさん(@kazunosuke13)」のポストでは「グリセリンを使うと毛穴が黒ずんで見える」という意見も。

メカニズムははっきりしていませんが、現状黒ずんで見えるので控えている人も多そうですね。

結論:できたら除去くらいでいい

化粧品が複数転がっている写真

【グリセリンは毛穴に悪影響か?】

・グリセリンは保湿剤の中ではとっても優秀でよく使われる
・グリセリンは保湿剤の中ではアクネ菌の餌になりやすい(あくまで主食は油)
アクネ菌すり鉢状毛穴の原因である不飽和脂肪酸を増やしかねない
・グリセリンで毛穴が黒ずんで見える人は一定数いる(エビデンス不明)
アクネ菌絶対許すまじな人はグリセリンは減らし気味にするのもアリ

今回のまとめはこんな感じです。

影響が全くないわけではないですが、アクネ菌の餌を全部気にするのは不可能に近いので、神経質になる必要はないと思います。そもそも、グリセリンフリーの化粧品少ないですし。

付け合わせ(グリセリン)より、主食(皮脂)を減らすことに注視したほうが精神的コスパはよさそう。

スキンケアは日々進化してますし、保湿系化粧品には現状グリセリン配合のもののほうが多い。われわれ毛穴の民はインナードライも多いので、気にしすぎて選択肢を大幅カットするのはもったいないのかもしれません。

スキンケアをする難しい顔をした女性の写真

ただ、他の保湿剤より圧倒的に餌にはなってるのは事実なんですよね。

そのアクネ菌への強い憎悪を持って、グリセリン控えめにしている人がいるのも事実(筆者)。

2種類の化粧品で悩んだら、グリセリンフリーどうかで決めるというのはいいかもしれません。あくまで最後の決め手でしょうか。

では、同志毛穴民の皆様。本日も健闘を祈ります。

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